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幕内 恵三
JAERI-M 7142, 76 Pages, 1977/07
ポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF)の放射線による橋かけの効率に影響をおよぼす諸因子の解明を目的として、PVdFの放射線照射効果について系統的な検討を行なった。PVdFの橋かけ効率に対する照射条件(線量率と照射囲気)の検討から、PVdF自身の物性(分子鎖構造と分子鎖の運動性)の検討から、PVdFの橋かけを促進するには、頭-頭結合等の異種結合の多いPVdFを選び、真空中50C以上で、しかもフッ化水素吸収剤との共存状態で照射すればよいことが判明した。また、溶液中では主鎖切断のみが起こり、橋かけしないことも明らかになった。さらに積極的に橋かけを促進するには、多官能性モノマーの添加が必要であり、このモノマーはPVdFとの相溶性および熱安定性を考慮して選択する必要があることを指摘した。橋かけしたPVdFの高温における強度から、放射線橋かけによるPVdFの耐熱性向上の見通しを明らかにし、実用的意義を明確にした。
幕内 恵三; 浅野 雅春; 荒木 邦夫
高分子論文集, 34(7), p.515 - 520, 1977/07
被引用回数:5ポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF)の放射線橋かけに対するトリメリット酸トリアリル(TATM)の添加効果と橋かけしたPVdFの機械的性質を検討した。このため、TATM存在下で電子線照射されたPVdFのゲル分率と膨潤率、さらに室温と100C、150C、180Cにおける応力-ひずみ曲線を求め、次の結果を得た。TATMはPVdFの放射線橋かけに対して著しく促進効果を示した。しかし、TATMの添加量が5%と、10%とでは、ゲル分率に大きな差が認められなかった。一方、膨潤比および応力-ひずみ曲線はTATMの添加量が多いほど橋かけ密度が高くなることを示した。橋かけ密度の高まりとともに顕著に変化する機械的性質は、降伏点応力の増加と破壊点の伸びの減少であった。TATMによる橋かけの効果は、PVdFの融点に近い180Cにおける100%モジュラスにおいて顕著であった。
幕内 恵三; 浅野 雅春; 阿部 俊彦
日本化学会誌, 1975(4), p.728 - 732, 1975/04
ポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF)溶液に線を照射し、分子量、分子量分布、UVスペクトルの変化を測定した。PVdFは固体状で照射すると橋かけするが、溶液中では溶媒、ポリマー濃度、初期分子量特性によらず主鎖切断のみが起こった。これはポリマーラジカルが溶媒からのラジカルによって安定され橋かけが起こらないためであると推論した。主鎖の切断は放射線の直接作用による。アドミ型溶媒中で照射するとPVdFは着色した。この着色はアミドの放射線分解生成物であるアミンの作用によることを明らかにした。